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底辺ネットライターが思うこと

思うことをひたすら書くだけ

そういえばと思い出す、高校生の頃の思い出

捨てられない物

とにもかくにも辛かったあの仕事を辞めて、実はまだ一か月も経っていない。

あの頃がずっと昔のことのように思えるのだけれど、カレンダーを見返してみると二週間ほどしか過ぎていない。匿名ダイアリーにあの投稿をしてからも、まだ一か月も経っていない。

人の生活は、気持ちは、こんなに短期間で変わるのかと実感している。

あの頃見ていた悪夢は、今は見ていない。

あの仕事をしている時、とにかく時間が長く感じられた。私は一生、ここでこうしているんだろうと考えていた。あの仕事以外、私の仕事はこの世界にないと思っていた。

今考えれば、恐ろしい話だ。洗脳だ。

そういえばこの気持ち、どこかで味わったことがあるなと考えて、思い出した。

高校生の時に付き合っていたDV彼氏と別れた時だ。

彼は、見るからにオタクな人だった。オタク女子から人気のあるオタク男子という感じだ。今風に言うと「オタサーの王子」だろうか。当時の私は二次元の男にしか興味がなかったのだけれど、その人に告白されて勢いで付き合ってしまった。

その頃の私の家庭は半分崩壊していた。一番年下の私に、家族全員分のストレスが回ってきて、とにかく家にいるのが辛かった。

彼の家は片親で、ほとんどの時間、家に親がおらず、友人たちの溜まり場になっていた。なので、私にとってこの人の彼女になるということは、そこに居座りやすくなるというメリットがあった。

付き合ってしばらくして、彼は私に暴力を振るうようになった。

初めは平手一発だったのが、どんどんとエスカレートして、殴る、蹴る、投げる、あらゆる暴力を受けた。終には本棚で殴られていた。離婚した母が置いていったという宗教の本がびっしり詰まっていた本棚が、気が付けば崩壊していた。

家の中はめちゃくちゃだったし、次第に誰も近寄らなくなった。彼の親すら。

最初の頃は泣き叫んでいたが、途中から我慢するだけになった。誰も助けに来ないことはわかっていたし、黙っていた方が早く終わるから。

なぜか、そんな相手と結婚するつもりでいた。本気で私の居場所はそこしかないと、あらゆる夢を諦めて、その人と夫婦になって生きていく未来しかないんだと思い込んでいた。

彼にそういう洗脳をされていたからなんだろうな、と、今となっては思う。

恐ろしいことに、彼と付き合っていた頃の記憶は、ほぼない。人間の脳は恐ろしすぎる記憶に耐えられず記憶を消してしまうというような話を聞いたことがあるけれど、こうした機能が働いているんだろう。(検索してみたけれど、それに該当する情報が見つからなかった。私の記憶違い?)

彼と付き合っていたこと、暴力を受けていたことは覚えているけれど、彼と過ごした時間や暴力を受けていた時間は、断片的にしか思い出せない。どちらかというと、彼に殴られて顔にあざを作った時の友人の反応の方が、よく覚えている。

結局、私と彼は高校三年になる前に別れた。「別れたりくっついたりを繰り返している」という典型的なパターンに陥っている途中で、私の目がうっかり覚めてしまったのだった。

別れの時の記憶だけはっきりしている。私の家の前で私の手を叩き落とし、「もう復縁しないからな!」と言って去っていく彼の背中に、悲しくも嬉しくもならず「終わったんだな」と思った。いつもなら私が追いかけて縋っていたのに、私はすぐに家に帰った。

その後しばらくストーカー化してしまったので、なかなか大変な思いをした。

この時も、つい先日までの話も、私は「この場所がなくなったら、他に生きる場所なんてない!」と恐れてそうなってしまった。

実際には、意外と生きていけるものだ。二度あることは三度ある、にならないように、三度目の正直となるように今後生きていきたい。

このことを思い出したのは、とある本がきっかけだ。

「捨てられない本」を探すために自分の持っている本を改めて、その頃読んでいた詩集を見つけた。

「もし君と結ばれなければ-飛びたてぬ十九歳の歌集」だ。 

もし君と結ばれなければ―飛びたてぬ十九歳の歌集

もし君と結ばれなければ―飛びたてぬ十九歳の歌集

 

1ページ目の詩を読んだ時、がつんと頭が殴られるような衝撃を覚えた。

触れてよと 願う心に手のとどかず 

触れるのはどうでもいいような たとえば乳房 

この詩集は、本当に好きな人との恋愛がうまく行かずに苦しむ詩なので、厳密に言うと私の恋愛は当てはまらない。

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だけれど、恋愛に苦しむ若い女性の心を描いたこの詩集は、私の心にどんぴしゃりとはまった。

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この本はとても読みやすくて、なんとなく、その頃の私の心のような気がして、ずっと持っている。

今こうして、時間を超えて人生の教訓めいたことを私に教えてくれた。これからもこの本は大事にしていこうと思う。