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底辺ネットライターが思うこと

思うことをひたすら書くだけ

CRPSという病気

日記

不治の病と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。

ほとんどの人が、その病魔が体を蝕んでいって、最後にはその人の命を食いつくしてしまうようなことを想像するのではないだろうか。

けれど、不治の病はその限りではない。

私の一番古い友人は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)という病におかされ、もう10年近く苦しんでいる。

合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん、英:Complex regional pain syndrome,略称CRPS)は、交感神経の過剰な活性化に関っていると考えられる疼痛である。神経因性疼痛の代表的疾患であり、体性神経の損傷および骨・筋肉組織損傷、外傷(重症度は関係ない)、内臓疾患、中枢神経系損傷後に発症するとされるが、明らかな先行した損傷がなくとも発症することがある。

複合性局所疼痛症候群 - Wikipedia

簡単に症状を説明すると、四六時中、ずっと体の一部に激痛が走っているというものだ。

彼女に痛みを言葉にしてもらうと「熱した油の中に手を入れたような」「熱い鉄板に押し付けられたような」痛みだと言う。この痛みが、四六時中あるのだと言う。

朝起きてから寝るまで、ずっと、ずっと。寝る時も、痛みに苦しめられてまともに眠れないのだと言う。

これまで、あらゆる薬を試してきたが、彼女には効かなかった。

恐ろしいことに、どんなにきつい痛み止めも効かない。

今日打ったブロック注射は、ものの15分程度で効果がなくなったと言う。

彼女は四六時中、ただ痛みに耐え続けるしかない。

ここ最近、とても暑い。帰宅して冷房の風を堪能する人も多いだろう。私も、外出から帰宅して、冷房に当たってビールを飲んで、ああ一息つけたと幸せを感じる。

彼女にはそんなささやかな幸せさえ許されない。

冷房であれ暖房であれ、患部に何かしらの刺激があればそれだけで痛いようだ。恐ろしいことに、日光ですら痛いらしい。ずっと長袖に手袋をして、日傘を差して歩いている。

この病気は進行性であり、人によってはそこからどんどん患部が広がっていく。

昨日までは左腕だけだったけれど、徐々に右足が痛くなり、左足が痛くなり、右腕が痛くなり。ついには全身が激痛に襲われて、歩けなくなる人もいるのだと言う。

彼女から聞いた同じ病気の患者のブログでは、「全身が痛み、もう動くことすらできない」という人もいるのだと言う。ほとんどのブログは、苦痛を訴える更新を最後に、更新されなくなっているようだ。

「こんな動けなくなる前に、自殺しておけば良かった」という更新もあったらしい。私はこの話を聞いて、絶句した。その病気を患っていない私ですら恐ろしくて仕方がなかったのに、それを患う彼女本人は、どんな気持ちでそのブログを読んでいたんだろうか。

彼女は日々痛みが進行することに怯えながら、それでも健康な人と同じような生活を強いられている。激痛を伴うにしろ、彼女の腕は動くから。

CRPSは、特効薬がない。他の病気の薬を転用して対症療法をしていくのが、定番らしい。

日本では難病指定されていないので、薬は研究開発されない。

なので、根本的に治療できる可能性はほぼない。

患者数が少ないので、仕方がないのかもしれない。けれど、その病気を抱える彼女の苦しそうな顔をずっと見てきた私にとって、この病気が早く難病指定されてくれたらと願っている。

今日、病院に付き添って行った。彼女は一生懸命笑っていたけれど、目が笑っていなかった。左腕だけの痛みだったのが、最近になって右足も痛み始めたのだと言う。本気で全身への転移を恐れ始めているのだろう。私も怖い。彼女を失いたくない。できることなら何でもしたいと思うけれど、私は医者でもないし、富豪でもない。彼女にできることは、彼女が頼んできた時に通院に付き添うこと、そして彼女が悲しまない限り、私も悲しみを表に出さないということだ。

最近では、子宮頸がんワクチンの副反応でCRPSを患う人も増えてきているようで、少しだけ認知度が上がったと言う。

www.mhlw.go.jp

(このサイトのQ18で触れられています)

患者が増えることは本望ではないけれど、こうして認知度が上がることをきっかけにして、彼女を救ってくれる薬が研究されないかと、私は常日頃から願っている。

 

この友人は、前回書いた記事の、私がDV彼氏から暴力を受けてあざを作っていた時に、一番傍にいて心配してくれた友人だ。

teihen-writer.hatenablog.com

彼女のことは幼稚園の頃から知っていて、小学校、中学校、高校とずっと同じところに通ってきた。どちらとも意図せず、気付けば自然に一緒にいた。

「私たち、友達だよね」なんて確認し合うこともなく、束縛し合うこともないのに、気付けば同じ選択肢を自然に選んでいて、いつも自然に一緒にいた。

社会人になってからも、頻繁に会うわけではなく、定期的に連絡を取り合って気が向いた時に一緒に買い物に出かける。

しばらく会っていない時に彼女と会うきっかけを作ってくれるのは、いつも彼女からの連絡だ。

「あなたの夢を昨日見たから、会わなきゃ!と思って」と、言われる。なんてスピリチュアルな、と思うけれど、そうして彼女が連絡してくる時は、決まって私が人生で落ち込んでいる時だ。

私はいつもその友人に愚痴を話して心を救われてきた。

彼女はめいっぱい愚痴る私を見て、「やっぱり、会って良かった」と言ってくれる。彼女といる時間は本当にあっという間に過ぎてしまう。それだけ、一緒にいてとってもとっても楽しい。おばあちゃんになるまで、ずっとこうした時間を過ごしたいと願っている。

そんな彼女がCRPSになって、もう10年近くになる。

最初は「何だか、腕が痛い」と言っていた。手術も受けると言うし、どうせすぐに治るんだろうと、私も彼女自身も思っていた。

しかし、彼女の痛みは進行するばかりで、これまで左腕だけだったのか、最近は右足まで痛み始めたと言う。

彼女はこれまで、左腕の痛みに耐えながら、それでも色んなところに出かけたり、私と馬鹿な話をして笑い転げたり、それなりに普通の生活を送ってきた。

本当に普通の女性で、かわいい物とおいしい物が好きで、それのためにお金をかける人だ。

けれど、痛みがひどくなり、まともに働くこともできなくなった。収入が内職だけになってしまった。

挙げ句、動けなくなる恐怖までが彼女の心を蝕み始めた。

「足が本格的に痛くなれば、もう、出かけることすらできなくなってしまうね」

今まで笑っていた彼女がとても悲しそうな顔をした。

そう言う彼女の悲しみに彩られた顔を見て、私は心底ショックで、悲しいのだけれど、私はとにもかくにも無力で何もできない。彼女を担当している医者が言葉のキツイ人なので、彼女が口下手で何も言えない分、医者に文句や意見を言うことだけが私にできることだ。

不治の病なんだとしても、せめてここで踏み止まってほしい。もし、彼女が全身に痛みを抱えて立ち上がれなくなる日が来たら、とうとう私は何もできなくなってしまう。

早く病気が進行しないような方法が生まれてくれたら、と、日々願っている。