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底辺ネットライターが思うこと

思うことをひたすら書くだけ

終わりが始まりである物語と終わりが終わりである物語と

捨てられない物

前回、最終回のようなブログを書きましたけれども、私の人生は続いていきますので最終回ではございません。

どちらかというと、今の私が立っている場所は、人生としては「スタート」だと思っております。

いつも漫画や小説などの物語を読んでいて思うのですが、どうして「エンディング」が「スタート」である物が多いのでしょうね。だから前回のブログが「最終回」のようになってしまったわけなのですけれども。

いえ、わかります。問いかけてはみましたが、うすうす薄ぼんやりとわかっております。これからも世界が広がっていく終わりの方が「ああ、明日を生きよう」と前向きな気持ちになれますものね。

私の好きな漫画のひとつに少年残像という物があります。

少年残像 (白泉社文庫 ゆ 1-15)

少年残像 (白泉社文庫 ゆ 1-15)

 

 この漫画は、主人公の二人の「終わり」がエンディングとなっています。

実はこの漫画、男性同士の恋愛と言いますか、愛情を描いたお話です。

このお話が掲載されたのは「花とゆめ」という少女漫画雑誌の特別号だったのですが、何の前置きもなしに男性同士の恋愛が描かれている漫画が巻頭にどんとあったので、驚きました。親戚に同性愛者がいますので、そういう方々の存在は幼い頃から知っておりましたが、まさか少女漫画雑誌でそうした漫画を読むことになるとはつゆとも思わなかったのです。

驚きつつも読み進めると、私はこの物語の美しさに虜になりました。

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簡単に、細かな背景を無視してあらすじをお話しますと、連続少年殺人犯の男性教師と、体を売って生活をする少年の恋愛物語です。全く違う世界で生きてきた二人が心の傷をうっかり擦り合わせてしまい、居心地の良さを覚えてしまい、愛し合ってしまうのです。

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しかし、社会のルールから外れてしまっていたこの二人は、そう簡単には幸せになれませんでした。

過去が、しがらみが、人が、二人を幸せから引きずり落とすのです。

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そうして二人は「終わり」ます。

けれど、心を擦り合わせることができる相手を見つけた二人は、肉体という縛りから解き放たれてから本当の幸せを得ることができたのです。

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作者が「この物語はハッピーエンドだ」と明言しておりました。

最初読んだ時、とても悲しいお話だと思っていた私にとって、作者の発言はとても衝撃的でした。

しかし、「この物語はハッピーエンドなのだ」と思いながら読み返すと、違う側面を汲み取ることができました。物語というものは、面白いですね。

幸せとは、いったい何なのでしょう。肉体から得られる快楽を幸せと感じるばかりの世界のように思いますけれども。心だけで人を愛せるのではないかと考えてはみるものの、結局、やはり、愛とは触れ合えた時に喜びが高まる物だと私には思えます。ただ一方的に愛するだけでは幸せではなくなっていきます。心が変わっていきます。最初こそ、幸せを感じられたとしても。そうして、変わってしまった心の形に耐えきれず、その心と心を触れ合わせて幸せな形に戻したいがために、凶行に走る人もいます。悲しいですね。ポルノグラフィティのアゲハ蝶ですね。世の果てでは空と海が混じる。

心と心だけで肉体を介さずに幸福を得られるのであれば、それこそが究極の幸せなのかもしれません。人間、死ぬ時は一人、目を閉じて、自分の中にある心に思いを馳せることしかできないのですから。

心だけで成り立つ幸せが究極の幸せならば、私は未だにそれを知りません。やはり、好きな人や物には触れたいですし、触れて欲しいです。いつもは素っ気ない態度のペットがふと私の指先をぺろりと舐めた時に、心の底から興奮と共に喜びと愛が湧き上がります。肉体を介した心の触れ合いの中でばかり幸福を感じる私は、人として未熟なのかもしれません。いつか、この物語の二人のように、たった一つの愛という曖昧な物を確実に感じ、心だけで、幸せを感じられる「終わり」を迎える日が来るのでしょうか。

私はそうした「終わり」を迎えたいと、常日頃から考えております。

私はこの作品を読んで以降、男性同士や女性同士の恋愛物語に積極的に触れるようになりましたが、今、手元に残っているのはこの作品だけです。

「一生捨てられない本」のひとつなのです。